Cheers to 2019! あっという間に、グレゴリオ暦の新年が明けました! 今年もどうぞ宜しくお願い致します。。。 振り続ける雨の合間を縫うように、冷たいグレンウッドの森の家を脱出して、夫の亡父の里、カリブ海に浮かぶバルバドスの島へとやってきました。これまでは、サンフランシスコ空港から、マイアミかニューヨークで乗り換えてから、バルバドスへ向かっていたのですが、今回は、新しい路線、ノースキャロライナのCharlotte Douglas国際空港を経由。マイアミやNYの空港は、巨大過ぎて、乗り継ぎ便の搭乗口へのアクセスが、大変でした。以前NYに遅れて到着した際、猛ダッシュで空港内を駆ける羽目になり、大変な思いをした経験があります。然し、Charlotteは、広過ぎず、乗り継ぎの搭乗口へは、5分足らずの道のりでした。 バルバドスの空港に到着して、タラップを降りると、海の匂いが漂う、島独特の生温い風が身体中を吹き抜けていきました。バルバドスは、カリブ海の東側に位置し、沖縄と同じ位の面積を持つ、カリブ海の宝石と呼ばれている、珊瑚から出来ている美しい島です。島には、沢山の親戚や友人が生活しており、私達にとっては、第二の故郷のような場所です。 去年のクリマスイブの前日に、私達がバルバドスの父と慕う、義叔父が90歳で亡くなりました。中学生の頃に、父を亡くした夫にとって、叔父は父親のような存在でした。20数年前、婚約時代に初めてバルバドスを訪問した時、緊張しながら挨拶をする私に、義叔父は満面の笑顔と温かいハグで迎えてくれました。襟付きの半袖のシャツ、短パン、ゴム草履に、ツバの広い麦わら帽子が義叔父の定番スタイルでした。スリムで小柄で簡素な佇まいは、ちょっと、ガンジーを思わせる風情。曲がった事が大嫌いなとても折り目正しい人でした。 取手をグルグルと回して窓を開ける、今時珍しい、ヒュンダイの古い車が30年来の愛車で、島に帰ると、この車で買い物やドライブに連れて行ってくれました。いつも忙しく、野良仕事に精を出し、一人暮らしのご老人達を訪問しては、色々な相談に乗ったり、庭の掃除や必需品の買い物などの手伝いをしていました。義叔母は、いつも、毎日どこにいるのか行方の分からない夫を、半分笑いながらも、「これじゃぁ、軍隊にいた頃と全く変わらないわ!結婚した当時から、彼は、家でゆっくりと過ごした事が一度も無いのよ!」っと、かなり本気で嘆いていました。 義叔父の告別式は、島の文化財でもある古い教会で行われ、何百人もの人達が訪れました。軍隊や海軍の関係者が続々と参列されて行く場面は、壮観でした。実は、私、この後に及んで、義叔父の事をずっと畑仕事に勤しむ島の親父さんだと思っていました。義叔父と出会った頃は、既に軍隊を定年退職していたので、軍服姿を見た事が無かったし、いつも、簡素な服にゴム草履で庭や果樹園のお手入れをしていて、軍隊のイメージからは、とてもかけ離れていたのです。 告別式では、義叔父の古くからの友人や牧師さんが、追悼のスピーチをされ、義叔父のこれまで歩んできた功績を褒め称えられました。少尉という階級まで上り、沢山の勲章を授与された義叔父は、小さな島のブラックコミュニティの人々にとっては、英国の植民地時代を乗り越えた長老であり、夫を筆頭に、親族にとっての大きな誇りだったのだと改めて知りました。 退職した後は、もっと、のんびり快適に、色々な贅沢も出来ただろうに、新しい車を買う事も無く、いつも質素に過ごしていた義叔父。一日2食のシンプルな食事と畑仕事などの毎日の肉体労働。けれど、この日々の質素な食事と肉体労働、そして小さな徳の積み重ねこそが、90歳迄元気に生き抜いた義叔父の長寿の秘訣だったのだと思います。 朝は、トーストなどの軽めの食事で済まし、夜は、義叔母が作る、島独特の豆ご飯(庭で収穫した無農薬、無肥料の豆類を入れたジャスミンライス)やクークー(CouCou)と呼ばれるコーンミールを炊いたおかゆのようなご飯、メインの鳥や魚の料理とサラダ。義叔父は、いつも少量をお皿に取り、虫歯の無い自前の歯で、ゆっくり時間をかけて食べていました。皆が食べ終わり、お皿を片付ける頃、ようやく半量を食べ終えていました。このよく噛んで食べるという行為もまた、何よりの健康へのマル秘対策なのでした。義叔父は、マクロビオティックという言葉さえ知らない人でしたが、まさに、マクロビオティックの真髄に呼応する生き方を全うされたように思います。 亡くなるまで、島の人々の平和を願い、困っている人達に、手を差し伸べてきた義叔父は、真の兵士でした。毎朝の長い散歩は、義叔父にとっては、島の人々の安全を確認する為のパトロールだったのかもしれません。義叔父に出逢えた奇跡に心から感謝です。🙏
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January 2024
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